君のいる場所にあたしはずっと行きつづけます。


海辺の住人   「海辺の住人」


お父さん。
あんまりしゃべらないけど、嫌いじゃなくなりました。
お母さん。
一生懸命、ここまであたしを育ててくれたありがとう。
冬海さん。
あたしを生んでくれてありがとう。
海途。
あたしを変えてくれてありがとう。
すべての人にメッセージを送ります。
今までのあたしはすごく無愛想で笑いもしないし、泣きもしない、
可愛くない子でした。
だけど今は表情豊かになり、たくさんの人に支えられ、そう、
いきるようになりました。
今のあたしは海途がいなければなかったと思います。
ありがとう。
あたしは何度もこの世からいなくなりたいと思うことがありました。
でも、今ここにいてよかったと思えます。
色んな人と出会い、色んなことを学び、本当に感謝しています。
お母さん、冬海さん、ありがとう。
お父さん、いまでもうらむことは沢山あるけれど、前ほど恨んではいません。
海で置いてけぼりにされたとき、とても寂しく、罪悪感がありました。
でもお父さんはあたしよりも寂しかったと思う。
だからあたしは、お父さんについていきます。
いつでもいいからちゃんとあたしのことをみとめてね。
いつか、あたしは誰かを愛し、旅立つときがきますが、
そのときはちゃんとみんなお祝いしてね。
きっと見つかると、自分で信じているから・・・・。
海はあたしの運命を変えて、あたし自身を変えてくれた。
出会いのきっかけは海辺。
そこにいたのは海途、あたしの本当のお父さん。
自分で奇跡を起こせる、そうわかった。
悲現実的なことだけどいいんだ。
あいたい人に会えたのだから。
あたしは素直に自分の気持ちを今、伝えた。
君に届くか、わからないけれど・・・・・・・。


「・・・っていう話でさ。」
あたしは今、大学生になり、楽しい生活を送っている。
あの海の街からはなれ、1人暮らし。
でも近くには別の海がある。
あたしの運命を変えた海、ずっと見つづけたいから。
「にして・・不思議な話ねぇ。」
話し相手は大学で知り合った睦月。
どんな話でも素直に聞いてくれる友達。
「まぁ・・結局このメッセージ、誰にも渡せなかったんだけど・・・」
あたしが住んでた街を離れると同時に海途達は消えたという。
一回、こっちにきて夜に海へいったときには声もなく、気配すらなかった。
魂すら、天国へいったのだろうか。
でもちゃんとお互いの気持ちを伝えられたからいい。
ちゃんと天国へいけたのなら、いいんだ。
「いい経験したなぁ・・・・。」


もう一度、このときを振りかえるときがくるのならば、
あたしはあの海へ向かい、あの満月を見る。
空のずっとずっとさきにある、見えない天国を見つめて。
あの夜に出会った、そう、
海辺の住人に感謝して―――・・・・





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